幸か不幸か偶然にも黄巾賊が幽州に攻めてきたらしい。
劉焉はすっかり怯えきってやがる。
ここで甥の俺が安心させれば地位もぐっと上がるだろう。
大丈夫ですよ劉焉殿。
俺たちが蹴散らせて見せましょう。
と言おうとした矢先、田舎もんの鄒靖が遮りやがった。
ちっ見透かされたか。
なかなかやるじゃないか田舎もんのくせに。
鄒靖は自分が大将になって迎撃するぞと息巻いている。
今までなにやってたんだよ。
物見によると黄巾賊は4、5万の軍勢らしい。
こっちの兵力は俺達合わせても1万がやっとだ。
しかも城を空にするわけにはいかないから
出せても7、8千ってとこだろう。
無理だ。
初陣が負け戦かよ。
もう嫌になった。
そういえば昨日踏み台が言ってたのだが、
俺の恩師、盧植の先公も出兵してるらしい。
畜生、最初から先公についていけばよかった。
いちいちうるさい先公だったが、
知識と勇猛さを兼ね備えている知勇兼備の将だった。
じじぃなら安心して初陣を飾れたに違いない。
モヤシもいるかもしれんしな。
失敗した。
何とか俺だけでも抜け出そうと画策していたら
ヒゲと豚に捕まってしまった。
豚はただ戦いたいだけだろうが
ヒゲはどうも様子が違う.
どうやら俺の力を見てみたいようだ。
いや、むしろ俺の無様な姿を期待しているようだ。
そうはいかんぞ傲慢ヒゲめ。
俺にはちゃんと策があるんだ、とっておきのな。
ようし行ってやろうじゃないか。
黄巾賊なんぞ蹴散らせてくれる。
そしてどさくさに紛れて
ヒゲも鄒靖もあの世行きだ。
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