2008年12月22日

第56話 らしくないぜ俺

空全体がヒゲの顔に見えて嫌になる。

あぁ笑え、笑うがいいさ。

ヒゲのことを散々に傲慢ヒゲとこき下ろしたが、

実は俺の方が傲慢だったのかもしれない。

誰も追ってこないのが証拠だ。

このままどこかへ行ってしまおうか

元々失うものなど何もない。

また機会があれば一旗あげてもいいが…

だが人の上に立つのは自信がないな。

母ちゃん元気かのう。

ごめんよこんなダメ息子で。



いかんいかん。

弱気になってどうする。

せめて踏み台に恩賞を貰ってからでも遅くはない。

もしくは世話になった先公の元へ行ってもよいかな。

逃げ出した身だから顔を合わせづらいが、

今までの戦功を話せばわかってくれるかも知れん。

しかし居場所が分からない。

何より踏み台の所だろうと先公の所だろうと、

一人で行くのは心もとないし、装備も食料も満足にない。

もう少し南に行けば潁川だろうし、

そこで朱儁将軍に事情を話して助けてもらうか。

と、色んな事を考えながらとぼとぼ馬を引いてると

前方に陣らしきものが見えてきた。

黄巾賊か?

いや、官軍の旗が遠目で確認できる。

なんだ、もうすぐ傍まで来ていたんじゃねーか。

となるとヒゲ豚義兵達が到着してるかもしれんな。

あいつら俺を見てどんな顔するだろうか。

ヒゲと図々しい奴は何となく想像できるがな。

今となってはどう思われたって構わんわい。

二回も黄巾賊に勝ってるから最低限の仕事はしたし、

義兵達も解散したってかまわんからな。

意を決して官軍の陣に入ろうとした時、

張飛が勢いよくこちらへ向かってきた。

勝手に逃げだしたから怒ってるだろうなぁ。

またぶん殴られるかもしれん。

目を背けていると、豚が思いがけないことを言った。

兄貴のおかげで黄巾賊を殲滅することができたブフォ。

将軍やみんなが待ってるからすぐに来てくれ。

なんだと?

一体どういうことだ?

俺は何もしてないぞ。

しかし相手がそう言ってるのなら遠慮しないでおこう。

一兵卒である俺が将軍と謁見なんて少々焦ったが

まだまだ天は俺に味方するつもりらしい。

そうだそうだ。

たかが失火で諦めることはないしな。

志半ばで止めるなんてらしくないぜ俺。


せめてヒゲを殺してからだ。



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posted by うさんく斎 at 03:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第二章 黄巾賊討伐編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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