得られたものだろうと疑っていたが、
帰還した兵士たちに聞くとどうやら本物らしい。
右将軍と弱虎が別々に一団を率い
宛城を二方面から攻め立て
勢いに任せて城に突入して皆殺しにしたとも。
・・・・・
あの弱虎が一団を任せられただと?
俺と同じの義軍上がりじゃあなかったのか?
そんな奴に右将軍が直々に兵を預けるわけがない。
何かの間違いじゃあないのかとその兵士に確認すると、
青ざめた顔で辺りを見回している。
どうも図々しい奴の情報は間違っていたらしい。
いや大元を辿れば一農民だったのかもしれないが、
黄巾賊討伐に参戦した時には
それなりの官職に就いていたらしい。
そういうことか。
危うく簡雍の間違った情報に踊らされるところだったわい。
孫堅にどんだけ賄賂贈ったんだなんて聞かなくてよかった。
打ち首もんだぞ。
もしやそれを狙って簡雍は俺を騙したのかもしれん。
もしそうだとしたら有無を言わさずぶっ殺してやる。
待てよ。
どうせ簡雍も間違えてるなら面白いことになるぞ。
簡雍に孫堅は義軍上がりなんだよなと再確認し、
どれだけ賄賂を贈ったら先の戦の武功を得られるんだ?
と孫堅に聞いてもらうことにした。
もしかしたらほんとに殺されちゃうかもな。
俺を騙した罪だ。
もし生きて帰ってこれとしたら
二度と俺を馬鹿にするなよ。
簡雍を待ってる間にヒゲ豚と共に一応帰り支度をする。
ペテン師らが死に、主だった黄巾賊は鎮圧したが、
まだまだ各地に残党勢力があることだし、
またお呼びが掛かるかもしれんな。
だがひとまず落ち着いたんだから、
恩賞話にはならないのか期待していたが、
どうやら現実味が帯びてきたぞ。
これからとりあえずは洛陽に帰還せよと命令が下った。
帰還というよりか凱旋だな。
今までの戦功が認められますように・・・
こういう時こそ図々しいやつの出番だな。
しかしまだ孫堅の所から帰って来ない。
いよいよ死んだかのう。
浅はかだったなの俺も簡雍も。
このままではまずい。
踏み台や左右将軍が上奏してくれりゃいいが、
一義軍にそこまでしてくれるだろうか?
それを打破するには簡雍の力が必要だってのに
何をたらたらしてんだ。
まぁ何にせよ洛陽に行ってからだな。
その時に何かまた沙汰があるかもしれんしな。
何より命があるだけマシかもしれん。
義軍も何人かくたばってしまったしのう。
こいつら戦終わったらどうなるんだろうか?
俺にこいつら全員養ってく余裕はない。
帰りたい奴は帰らせて、
残りは官軍にでも徴兵されればいいが。
ともかく準備をせねばと急いでいると、
俺たちの陣の隅に見慣れた人影が横たわっておる。
成仏しろよ簡雍・・・
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